サロン開業コラム
2018/10/11
雇われエステティシャンとして働いている方の平均年収は、300万円~400万円程度とされています。月収で見てみると、18万円~22万円ほど。これから独立し、エステサロンの開業を考えている方のなかには「今より稼げるのかどうか」「どれくらいの年収が見込めるのか」を心配する人も多いでしょう。この記事では、独立してエステサロンを開業した場合の月収について、また安定した月商を得るための方法をご紹介します。
毎月安定した収入を得られる雇われエステティシャンとは異なり、独立しサロンを経営するとなると、多くの場合は不安定な売り上げに悩まされることになります。軌道にのらなければ、収入を得るどころか赤字続きも覚悟しなければなりません。その一方、独立を機に大きく収入がアップした方がいることも事実です。独立開業したエステサロンの、月収・年収事情を見てみましょう。
独立した場合に見込まれる平均年収は、500万円~数千万円と幅があります。これは成功しているサロンとそうでないサロンとで、収入にかなりの差があることが理由です。年収300万円以下で、社員として雇われていた頃を下回ってしまうケースも珍しくありません。かと思えば、年商1,000万円越え、月収にして100万円というオーナーもいます。
テレビや雑誌などでの露出が多い人気サロンの経営者ともなると、年商は数億円になることも。こうした成功サロンが平均を引き上げていることから、500万円~数千万円と幅のある結果になっているのです。これは同時に、収入が500万円にも届かず、経営が立ち行かないサロンもまた多く存在することを意味しています。
社員としてサロンに勤める場合にはなかなか手の届かない、月収100万円も夢ではない世界です。もちろんそうした成功サロンは、収入アップにつなげる数々の工夫を凝らしています。人気が出るエステサロンの条件というと、オーナー・スタッフの施術スキルの高さがまず頭に浮かぶかもしれません。しかし独立開業となると、技術力だけではなかなかうまくいかないのが現実です。
売り上げの決め手となるもうひとつの条件に、集客力があります。これにはオーナーの営業スキル、経営スキルが必要不可欠です。紙媒体・インターネットを活用したターゲットへの的確な訴求、家賃や光熱費のほか、経費の管理など、オーナーに求められる知識量は膨大。そのため独立前に、経営術・集客のノウハウを学べる専門学校やセミナーへ通う方も多くいます。
独立直後のサロンの収入は、想像を上回るほど不安定です。しかし自分やスタッフの月収、サロンの維持費などは毎月決まってかかるもの。これらをトータルで計算したとき、月々の売り上げがそれを上回っていなければ赤字ということになります。収入が不規則なまま、黒字のときもあれば赤字の月も多々あるような状態では、だんだんと経営も難しくなるでしょう。月商の安定を目指すときは、次の方法をとってみてください。
開業にあたっては多額のイニシャルコスト、つまり初期投資が必要です。そのためオープン直後はどうしても赤字になってしまう傾向にあります。できる限り早く黒字化できるのがベストですが、初年度はまだ知名度が低いこともありそう簡単にはいきません。
この場合イニシャルコストを削減することで、月商に回せる額を増やすことができます。近年注目が高まっている「自宅サロン」がいい例でしょう。確かに路面店やテナントに開業することで、目につきやすく飛び込み予約が見込めるのはメリットです。しかし初期費用がどうしても高くつきやすく、売り上げのほとんどが経費に消えてしまうことも考えられます。
自宅サロンで必要になる最低限のものは、エステ機器に消耗品、ベッドなどの家具類、生活感をなくすための内装費など。パソコンや洗濯機などの電化製品は、すでに自宅にあるものを兼用にすることでコストを抑えられます。路面店となるとイニシャルコストに100万円~200万円は見積もっておきたいところを、自宅サロンなら30万円程度で準備が可能です。
あるいは「居抜き物件」を利用するのも一案でしょう。もともとエステサロンとして利用されていたテナントなら、設備投資は比較的安く済みます。ただし以前のサロンのイメージが強いと、それを払しょくするまでに時間がかかるかもしれません。
イニシャルコスト以上に気をつけたいのがランニングコスト、運転資金です。化粧品やタオルなどの消耗品、エステ機器のメンテナンス費はもちろん、ガス・水道・電気といった光熱費、家賃もこれにあたります。サロン経営を継続していくうえで、必ず毎月支出することになるため、できる限り安く抑える方法を模索してみましょう。
特に光熱費は、いくつかの会社を比較することでよりお得なサービスが見つかることもあります。定期的に見直し、乗り換えを検討するタイミングも出てくるかもしれません。また路面店やテナント、マンションの1室などで開業を考えている場合、家賃が経費の大半を占めることになります。立地に妥協したことで集客が見込めないのでは意味がありませんが、家賃と目標売上とのバランスは熟考する必要がありそうです。
顧客獲得のためには、営業活動にもある程度の経費を割かなければなりません。チラシやクーポン、インターネット広告など宣伝方法はいくつかありますが、「とりあえず試してみよう」とやみくもに経費をつぎ込むより、効率アップを目指したほうが賢明です。
このとき大切な指標になるのが「反応率」。計算式は以下の通りです。
たとえば1,000枚のチラシを刷り、配布するまでに1万円のコストがかかったとします。その後、チラシを見て来店したお客様がひとりいたとしましょう。計算式「反応人数÷配布(配信)数×100」で反応率が求められるため、この場合は反応率0.1%です。一度の施術あたり1万円以上の売り上げが見込めるサロンであれば、黒字ということになります。
もし2人のお客様が来店したとしたら、反応率は0.2%、単純計算で売り上げは2万円に。すると1万円の利益が生じ、反応率が良いほど広告の効果も高いということがわかります。サロンのコンセプトや立地、狙っている顧客層から「紙媒体かインターネットか」「インターネット訴求のなかでも、どの媒体に力を入れるべきか」を考え、より効率的な宣伝方法を導き出しましょう。
これまでは大手サロンに勤めていた方も、独立後はゼロからのスタートです。ここまで読んでみて、小規模サロンの開業は不利になるのではと感じた方もいるかもしれません。大手と同じ土俵で戦おうとすれば、もちろんデメリットが大きくなります。しかし小規模サロンならではのメリットを活かすことで、着実にファンを獲得していくことも可能です。
客数が限られるのは、何も悪いことばかりではありません。お客様一人ひとりに時間や手間をかけやすく、細やかな接客・おもてなしができます。大手では難しいオーダーメイドメニューを提供することで、差別化をはかるのも良いでしょう。「かゆいところに手が届く、私のためのサロン」と感じてもらえるのは、小規模サロンならではの強みと言えます。
細やかなサービスにも関係することですが、大手に比べて個人経営のサロンはリピーターを獲得しやすい傾向にあります。大きなサロンの場合、とにかくたくさんの新規顧客を獲得し、数をこなさなければなりません。そのためお客様は店舗やエステティシャンへの愛着を抱きにくく、他店への浮気につながってしまうのです。
対して小規模サロンは、密なコミュニケーションが鍵を握ります。お客様の悩みや要望に合わせてフレキシブルに対応でき、顔と名前、前回来店時のエピソードや変化も把握しやすいのが特徴。「サービスを提供する・される関係」から、もう一歩踏み込んだ信頼を築くことにつながります。「ここでなければいけない」と感じてもらうことで、ファンを定着させやすいのがメリットです。
自分ひとり、あるいは少人数でサロンを運営していく場合、お客様やスタッフの声、新たなスキル、マネジメントをすぐに反映できます。オペレーションの手間が圧倒的に少なく済むため、実現化がスピーディです。
小規模サロンの年収はピンキリで、独立開業したからといって必ずしも黒字が出るとは言い切れません。「オープンから3年で9割が廃業」とも言われるエステサロン業界で生き残るには、施術テクニックだけでなく、経営・集客のノウハウが不可欠です。大手サロンと比べたときに不利になる点も、強みに変えるマネジメントを身につけておきましょう。
「どうすればデメリットをメリットに変えられるのか」「開業にあたって不安がある」という方は、エイチフォーにご相談ください。全国展開のサロン運営から得たノウハウを活かし、経営力強化のお手伝いをさせていただきます。